(おび)
【民俗】〈衣生活〉
ハンハバオビ(半幅帯、オビ、ムクゾオビ)は使い古しの布を細く引き裂いて緯糸に使い、木綿糸を経糸にして織った裂き織の帯である。用いる布によりさまざまな柄を織りだすことができた。新嫁御は赤やピンク色の布を織り込んだ派手な帯を締めた。結び方は矢の字結びにするが、農作業で時間がない場合は垂れを帯に挟むだけの簡単な結び方にした。幸海(松平地区)の話者は、農作業の時に苦しくないよう、帯幅が少し細めの帯を作ったという。鴛鴨(上郷地区)の話者は、帯を身体に2回りする長さで切り、両端を三角形に折って紐をつけたものを締めていたという。モンペをはくようになると帯は省略された。お寺参りや氏神様の祭礼、法事など、改まった場所へ出かける場合には、着物に名古屋帯をお太鼓に締め、羽織を着るのが正式で、オビツキと呼んだ。30歳ぐらいの人は半幅帯を矢の字に結ぶ人もあったが、後ろ姿に膨らみがなく、お太鼓の方が恰好よかった。〈衣生活〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻235ページ、16巻234ページ