帯祝い  

 

(おびいわい)

【民俗】〈人の一生〉

妊娠5か月目か7か月目、妊婦が腹帯を巻いた際の祝い。市域では腹帯は嫁の実家が用意するのが普通で、合わせてハライタ餅と呼ばれる一升取りの丸い紅白の餅を搗いて双方の親戚に配った。この餅は妊娠したことを披露するもので、もらったところでは出産後に産着などをお祝いに贈ることになったため、宮口上(挙母地区)や古瀬間(高橋地区)などでは「餅をもらうと出費がかさむのでハライタ餅と呼んだ」と伝えている。また、この餅には小豆が1、2 粒入っていて、篠原(保見地区)など平野部の多くの地域で「切った時に小豆が切れると男の子、切れないと女の子が生まれる」と語られていた。大野瀬や黒田など稲武地区では、帯祝いには近隣の女性ばかりを招いて盛大な宴を開き、妊娠を祝った。帯祝いでは、嫁方が用意した、生児の分身である餅を共食するところに意味があったと考えられるが、次第に砂糖や落雁、丸いものを配る習慣に変化していった。〈人の一生〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻608ページ、16巻554ページ