(おもや)
【民俗】〈住生活〉
市域の民家の母屋形式は四ツ建あるいは鳥居建と呼ばれ、伊勢、尾張、三河、美濃地方に広くみられる。その特徴は「屋内に立つ柱と柱を結ぶ横架材(桁・梁)の構造軸組みが神社の鳥居の形に類似している」(『愛知の民家』)ことで、市に寄贈された旧平岩家住宅(市指定有形民俗文化財)にその例をみることができる。しかしこの名称はあまり使われず、鴨居造りという言葉が多く聞かれる。これは鴨居を部屋の四隅の柱に回した枠構造をいい、鴨居の材料には太くて丈夫な松材が使われた。「部屋は尺2のカモイサシ」という表現があり、これは鴨居の高さが1尺2寸あることを意味する。大きな家では尺5の鴨居もあった。太い鴨居を柱のほぞ穴に差し込んで緊結する(ドウヅキ)ことで、頑丈な家屋とすることが可能となった。鴨居下部には間仕切り用の溝を刻み、そこに建具をはめた。建具をはずすと複数の部屋が開放され、冠婚葬祭の人寄せの折に広い部屋として使うことができた。〈住生活〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻389ページ、16巻389ページ
→ 旧平岩求家住宅