海風前線

 

(かいふうぜんせん)

【自然】

海風は海岸付近の海洋と陸地との熱容量の違いで吹く風であり、海洋から内陸部の低圧部に向けて吹き込む日中の局地循環系である。しかし、緯度差によって吹走時間、および進入距離が異なり、赤道に近い地域では日射量が豊富なために海風循環規模が大きくなり、オーストラリアでは内陸200kmまで海風が進入することもあるが、中緯度の我が国では海風前線が15~20kmとされている。しかし、地上の摩擦係数の関係から、河川に沿う地域では30kmまで進入するため、矢作川に沿う豊田市街地は海風前線地域にあたるといえる。実際には海風前線はアメーバー状になることが多い。海風前線地域は逆転層をなしているため、高温・高湿、および無風であることが多く、大気環境濃度が悪化し、汚染物質が凝結核となって局地的な降雨をもたらすこともある。大都市における海岸部では、高層建築物の影響で大気擾乱が活発となり、積乱雲が発達して集中豪となって都市内洪水の原因となることが報告されている。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻127・149・177・179ページ