海陸風

 

(かいりくふう)

【自然】

海洋と陸地の熱容量の違いでおこる海岸付近の局地循環系である。日中は内陸部が日射しによって暖められて上昇気流が発達して地表付近の気圧が下がり、海洋からの大気が内陸部に海風となって進入する。我が国の海風進入距離は15~20kmとされているが、河川沿いでは摩擦係数の関係で30kmに達することが多い。さらに、海風前線地域が盆地状をなす豊田市街地は、都市化によってヒートアイランドによる昇温効果で低圧部となり、海風前線がより内陸に進入するようになった。その結果、盆地底の高温域が日中は盆地底北部に移流し、夜間になると中心部の挙母町以南に南下する傾向がある。また陸風は、夜間から早朝にかけては放射冷却による冷気が重力に従って海岸部に流れ出す現象である。海風は、下層海風、中間層、および上層陸風の三層構造であるが、陸風はその逆で下層陸風、中間層、上層海風の循環系をなしている。一般に、高緯度ほど陸風が強く、南極のブリザードは陸風に類するものであるが、赤道に近い地域は海風循環規模も大きく、海風の吹走時間に加え内陸への進入距離も長くなる。したがって、海風と陸風との循環系が同地域でみられるのは中緯度の特徴でもある。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻145・151ページ