(かがんだんきゅう)
【自然】
主に河川に沿って河床よりも高い位置に見られる平坦な地形であり、段丘崖と呼ばれる急崖によって隔てられた、複数の平坦面が見られることが多い。この平坦面はもともと河川がつくったものであり、これを河岸(河成)段丘と呼ぶ。基本的には高い段丘ほど古い時代に形成され、古い段丘ほど侵食の影響が現れ開析されている。河岸段丘の堆積物は、角の取れた礫(石ころ)や流れによって運ばれ堆積したラミナ(葉理)を伴う砂層などによって構成されていることから、段丘は過去の河床であったことがわかる。さらに河岸段丘の形成は、過去の気候変動の影響、海面変動、地殻変動の影響をうけながら行われてきたと考えられている。すなわち地殻変動による土地の隆起によって河川が下刻し、河床の一部が離水して形成される場合、また過去の寒冷期や温暖期には降水量の増減、森林限界の変化による凍結融解作用の変化などによって、河川の流量や谷への土砂供給量が増減する。これに伴って谷底が埋積して河床が上昇したり、また逆に降水量が増え下刻することによって、河床(堆積面)の一部が削り残されたり、逆に下刻途中に削られた平坦面(侵食面)が離水することによって段丘が形成される場合などがある。市域に分布する河岸段丘は、矢作川上流部では、支流黒田川流域の桑原町周辺、矢作川本流の東広瀬周辺や足助町市街付近に良く発達する。また豊田盆地から下流では、矢作川などの氾濫原を挟むように広く分布し、これらは三好面、挙母面、碧海面、越戸面、籠川面の5面の河岸段丘面に区分される。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻7・49ページ