柿   

 

(かき)

【民俗】〈食生活〉

柿は甘柿と渋柿があるが、渋柿にもさまざまな食べ方があった。標高が高い寒冷地では柿の「渋が切れない」といい、甘くならなかったというが、渋柿を干し柿にするには適していた。渋柿の渋抜き方法にはさまざまな工夫がある。タルガキ(タルヌキ)といって、柿のヘタに焼酎をつけて樽に入れ、蓋をして1週間ほどおくと、硬いままで渋が抜けた。小さいセンボロという柿は皮つきのまま熱い塩水をかけて塩漬けにした、という例が多い。一方、フジサンガキやショキュウ、蜂屋柿は熟すと甘くなるため、軟らかくなるまでロジ(蓋のない浅い木箱)に並べておいた。次郎柿や富有柿などの甘柿も、人によっては軟らかくなるまでおいて食べた。山間部では、干し柿を煮て砂糖の代用に使うことがあり、刻んだ干し柿を小豆に混ぜて煮たり、柿の皮を干して粉のようにしたものをアンコに入れて煮たこともあったという。また、落ちた柿で柿酢を作ることもあった。〈食生活〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻354ページ、16巻357ページ