籠川河床の亜炭層

 

(かごがわかしょうのあたんそう)

【自然】

籠川の河床に露出している亜炭層。籠川は矢作川の支流のひとつで、梅坪町の東で矢作川と分かれて北に延び、愛知環状鉄道の四郷駅付近で、北西に延びる伊保川と分かれ、さらに北に延びている。最上流部は猿投川と呼ばれる。亜炭とは、地質時代の木材の化石で、炭化が進んでいない質の悪い石炭といえる。亜炭が層を成しているのが亜炭層で、真黒な見かけの地層である。この亜炭層が露出するのは四郷駅南西の河床である。ここでは河床に粘土層が露出し、そのなかに亜炭層がはさまれている。亜炭の材はスギ科やヒノキ科である。粘土層はよく締まっており(固結しており)、含まれる花粉化石には、日本列島からすでに消滅している第三紀型植物のカリヤグルミ属や関連する花粉化石が検出されていることから、東海層群と判断される。このあたりの地下には東海層群が広がっており、その一部が籠川に浸食されて露出したものである。東海層群の上面は、左岸(東)では標高およそ45.5m、右岸(西)では43.5mほどで、西に傾き下がっていることがわかる。なお、このあたりの沖積面(現在の河床面)の標高は49~50mで、東海層群の上面までの厚さ数mは沖積層である。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻56ページ

→ 東海層群