風下波動

 

(かざしもはどう)

【自然】

風下波動は、気圧差に伴う大気の移流が山岳地などの障害物によって堰き止められ、風上側の気圧差が増して風下側に吹き下りる現象で、波動が起こる要因は気流の吹き下りる地域の気圧差が増して気圧の低い上方に向かう現象で、ハイドロリックジャンプ(水はね現象)とも呼ばれている。また、上昇気流域にはレンズ雲が現れることで確認することができるが、レンズ雲とレンズ雲の間の地表付近は強風域、真下は弱風域である。風下波動が起こりやすい地形的特徴は、風上側の山の高さが約1300mであり、風下側は平地か海面とされている。風下波動地域はフェーンが吹くヨーロッパアルプスやボラが吹くアドリア海の山越え気流が吹走する地域であるが、我が国でも観測されている。伊勢湾岸地域では鈴鹿山系の御在所岳の高度は1212m、伊吹山が1377mであり、風下波動が最も起こりやすい高さである。風下波動の距離は世界的にみて5~30kmであるとされているが、鈴鹿おろしの風下波動距離は8~10km、伊吹おろしが12~13kmである。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻97ページ