勝手神社本殿

 

(かってじんじゃほんでん)

【建築】

下林町(挙母地区)。衣3社の一つである。現本殿の建立年代は、寛文5(1665)年の棟札があると伝えるが、様式的には18世紀前期頃の建立と考えられる。本殿は一間社流造で、屋根は杮葺とし、軒は二軒繁垂木。妻飾は虹梁大瓶束・笈形付で、束上に大斗花肘木を置く。身舎の正側三方には刎高欄付の縁を廻らし、両側面の縁後端に脇障子を設ける。正面中央では擬宝珠柱を立て登高欄付の木階7級を付ける。庇柱は几帳面取角柱で、柱間には、頭貫虹梁を渡し、端に象の彫刻木鼻を出す。柱上では連三斗を載せ、中備に彫刻蟇股を配し、身舎柱との間には海老虹梁を渡す。身舎柱は円柱で、柱間には縁長押・敷鴨居・内法長押・頭貫を通し、頭貫端に木鼻を出す。また、側面から延長された腰長押は、正面の柱位置で枕捌きに納め、内方へ折り返す。柱上では出組斗栱を載せ、中備に蟇股を置く。正面柱間には現在、両開き格子戸を入れるが、これは後補で、当初は柱間を開放していた。正面の柱筋から1尺8寸ほど奥にも柱筋を設けて板唐戸を構え、これより奥を内陣とし、手前に小室を設ける。側背面の柱間は横板壁とする。


『新修豊田市史』関係箇所:22巻203ページ