賀茂原神社舞台

 

(かもはらじんじゃぶたい)

【建築】

小原町(小原地区)。賀茂原神社の境内にあり、本殿と拝殿は、境内の北端に南向きに鎮座し、舞台は本殿と拝殿のほぼ中心軸線上に広場を挟んで相対するように北向きに配置される。舞台は、入母屋造、銅板葺(もと茅葺)、平入の大型の建物で、背面に2.76mの後補の下屋を付ける。建物規模は、桁行10.940m、梁間10.950m、舞台高0.770m。舞台正面では、大虹梁の上に腕木を出して、その上に連子の欄間が入れられ、外観の特徴の一つになっている。舞台装置は、上手側の鏡柱の外側には、太夫座の取り付け痕跡が残るが、現在は取り払われて板壁になっている。この舞台の建立年代は、棟札によれば、文化13(1816)年である。ただ、正面両隅の虹梁柱の上部では細い材に継ぎ足されたような不自然な格好になっている。また、側面では、旧茅葺の際に用いられた腕木の部材が柱に刺さった状態で残っており、もとは茅葺だったものが、幕末から明治にかけて、舞台を大きくするために屋根を高くして、正面の虹梁上に連子格子を入れ、小屋組も束立て式に変えて茅葺から瓦葺に変更したのであろう。なお、この時に回り舞台も造られたものと考えられる。その後、昭和に入って舞台後方に集会場が増築された。この舞台は、改造が大きいが、江戸時代後期に造られた大型の舞台で、小原歌舞伎の中心地としての隆盛とともに発達した舞台の姿がみられ、神明神社舞台(小原村北・明治25年)とともに小原を代表する舞台遺構である。


『新修豊田市史』関係箇所:22巻443ページ