カラスミ

 

(カラスミ)

【民俗】〈食生活〉

小原地区、旭地区、稲武地区などでは、カラスミというウイロウに似た米粉の練菓子が三月節供の行事食として作られている。隣接する岐阜県東濃地方に広く分布する菓子で、足助地区では「稲武の菓子」と認識されており、分布域は岐阜県に近い地域に限られている。米粉を練って棒状にして蒸したもので、横に切った時に富士山型になるように形を作る。小原北では、砂糖やシソを入れたり、色粉で色をつけたりし、ここに黒砂糖が入れば上等だったという。形は手でととのえ、富士山型にするための上部のくぼみは2本の箸でつけるが、かつては指でつけていた。食べる際は1cm厚くらいに切った。上切(旭地区)ではどこの家でも箸入れくらいの長さのカラスミの型を持っていて、米粉を練って型に入れて形を整え、箸で上の溝をつけて蒸して作っていた。稲橋(稲武地区)では富士山型ではなく、丸い棒状にして箸で2本の筋をつけていたという。〈食生活〉


『新修豊田市史』関係箇所:15巻342ページ