カワラナデシコ

 

(カワラナデシコ)

【自然】

「秋の七草」の一種で、ナデシコ科ナデシコ属の草本種である。山野の日当たりの良い草地や河原に生育する。母種は北海道と本州中部以北に分布するエゾカワラナデシコとされている。淡紅色の花期は6~9月と長く、風にそよぐ姿を、繊細ながらも強く美しい日本女性になぞらえ「大和撫子」と表現されてきた。万葉集、枕草子、源氏物語などの古典にも登場し、文学を含め広く日本人に愛されてきた種である。名称の語源は、幼子を可愛いいと撫でるように愛らしいことから「撫でし子」とされたといわれる。本種は人が意識的に草刈り管理する草原等で維持されてきたため、放置され丈の高い他種が繁茂するままでは生存することができず、各地で絶滅危機に瀕している。市内では河川、溜池、堤防、湿地周辺の開けた草地など「半自然型草地」でみられるが、少ない。


『新修豊田市史』関係箇所:23巻336ページ