(かんたいぜんせんジェットきりゅう)
【自然】
地球を取り巻く対流圏の大気循環境は、経度に沿う子午面循環と緯度に沿う東西循環に分けられるが、寒帯前線ジェット気流は極循環とフェレル循環の収束帯を流れる高緯度側の偏西風である。ジェット気流の軸にあたる高さは500hPa等圧面高度であり、200hPa等圧面高度に強風軸を持つ亜熱帯ジェット気流に比較して背が低い。これは、時計回りの極循環と反時計回りのフェレル循環の下降気流域での収束帯にあたるからである。寒帯前線ジェット気流は、一般に北アメリカ、ヨーロッパ、および東アジアでトラフ(気圧の谷)を形成し、3波波動をなしている。これらの谷はテレコネクションで連動しており、ヨーロッパではアイスランド低気圧、北アメリカはアリューシャン低気圧、および東アジアでは日本海低気圧を発生させる要因となる。主に寒帯前線ジェット気流の高緯度側は亜寒帯、低緯度側が温帯であることから、寒帯前線ジェット気流の蛇行と中緯度の寒気の南下とは密接な関係があり、東西指数を計算することで寒気の南下周期を予測することができる。寒帯ジェット気流の蛇行は、低緯度側の暖気と高緯度側の寒気との熱交換によるものであり、東アジアでは2週間単位で南下する傾向にあり、クリスマス寒波や年末寒波、センター入試寒波、および節分寒波ともいわれている。地球温暖化が叫ばれる中で頻繁に寒気が襲来するのは、緯度帯の温度差による子午面循環が盛んになっているからであり、中部地方は寒帯前線ジェット気流の南限にあたり、蛇行に伴う日本海低気圧の通過に伴って東海地方は日本海側からの雪雲が流れ込み、市域に降る降雪のほとんどは山雪型である。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻112ページ
→ 降雪型