(かんのんぼさつ)
【美術・工芸】
観音菩薩は、仏教が大乗仏教の段階に発展して登場する菩薩の一尊格で、観世音菩薩や観自在菩薩とも呼ばれる。観音菩薩のことを説く経典では『法華経』普門品が代表的であるが、その中には観音菩薩がさまざまな苦難から人々を救済する姿や、三十三の姿に変身してあらゆる衆生を救済する姿が説かれている。このほか、『無量寿経』や『観無量寿経』など浄土経典には阿弥陀如来の極楽浄土にいる観音菩薩の姿が説かれている。また、南方にあるとされる補陀落山も観音菩薩の浄土として位置付けられている。観音菩薩は、ヒンドゥー教のシヴァ神やヴィシュヌ神のイメージを取り入れながらその姿を発展させ、十一面観音や千手観音のような多面多臂の姿であらわされるようになり、不空羂索観音や如意輪観音、馬頭観音のようなさまざまな姿であらわされるようになる。これらの観音菩薩は変化観音と呼ばれ、通常の一面二臂の観音菩薩は聖(正)観音と呼ばれるようになる。また、六道に於ける衆生救済と変化観音が結びついた六観音の信仰や、水月観音、魚藍観音、楊柳観音のような三十三観音と呼ばれる多様な観音菩薩の姿も存在する。
→ 観音寺(足助町)十一面観音菩薩坐像、観音寺(足助町)十一面観音菩薩立像、観音寺(上野町)聖観音菩薩立像、観音寺(乙部町)聖観音菩薩立像、極楽寺(御立町)観音菩薩立像、猿投神社千手観音菩薩立像、昌全寺聖観音菩薩坐像、常福寺十一面観音菩薩立像、杉本町内会聖観音菩薩立像、長慶寺十一面観音菩薩立像、天徳寺伝十一面観音菩薩坐像、徳昌寺十一面観音菩薩立像、平勝寺観音菩薩坐像