(かんばつ)
【自然】
干ばつ(旱魃)とは極端に降水量が不足して作物が育たない現象で、冷害による凶作と並ぶ食糧危機の要因となる異常気象の一つである。近年は中緯度の大陸内部にみられる砂漠化が進行しており、食糧生産地域が減少しつつあるのが現状である。砂漠化の原因は、地球温暖化の影響による熱帯海域の海面温度の上昇でハドレー循環が強まり、中緯度の下降気流域での亜熱帯高圧帯の領域が拡大しているからである。我が国における旱魃は、東アジア特有の梅雨前線の停滞期間(6~7月)が短く、北太平洋高気圧の勢力が強まって夏型気圧配置が持続し続けることが原因で、高気圧の下降気流による乾燥断熱減率で大気中の乾燥度が増すからである。特に、1980年代の気候シフト以降、東アジアの夏型気圧配置は、オホーツク海高気圧型の出現頻度が減少傾向にあるのに対し、日本列島が北太平洋高気圧に覆われる全面高気圧型、および南高北低型の占める割合が高くなっている。このため、高気圧の北を流れる亜熱帯ジェット気流の北上に伴って、温帯低気圧の通過による降水確率が低下する傾向にある。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻630ページ