(きおんのていげんりつ)
【自然】
地球を取り巻く対流圏は、高度が増すにつれて気圧が下がるが、逓減率は高度とともに気温が低下する割合のことである。気温減率は、乾燥断熱減率と湿潤断熱減率に大別され、湿潤断熱減率は飽和空気が断熱的に上昇するときの温度の減少率で、飽和断熱減率ともいう。余分な水蒸気が凝結して潜熱を放出するため、気温の低下率は乾燥断熱減率よりも小さく、その減率は約0.4~0.6℃/100m程度である。これに対し、乾燥断熱減率は乾燥した空気塊が断熱的に上昇するときの温度減率で、約0.98℃/100mであるが、一般には1.0℃/100mとして計算されることが多い。東海地方が猛暑になるのは、風上側の伊吹山地や鈴鹿山脈を越えて来る西寄りの風がフェーン現象を伴って吹き下りてくるためで、風上側の大気が1200m前後の山地を越える場合、風下側では約6℃気温が上昇するからである。市域が名古屋市よりも高温になるのは名古屋市のヒートアイランドに伴う高温大気が移流して盆地底に停滞しやすいことと、夏型気圧配置の変容によって南高北低型から鯨の尾型の頻度が高まり、西側山地より高度の高い中部山岳地帯からフェーン現象による熱風が流れ込むからである。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻102・196ページ