(きかねつこうか)
【自然】
気象学における気化熱は、液体から気体に、また逆に気体から液体に、等温・等圧の可逆的な相変化を行うときに吸収または放出する熱量のことで、水の気化熱は0℃において597.3cal/grであるが、一般には蒸発熱ともいわれている。熱容量の大きな水体(水域)は、蒸発するときに周囲の熱を奪う気化熱効果があり、日中は河川や沼、湖の周辺では気温が低くなり、範囲(約200m)は限定されるが、風下側では風上側に比較して気化効果が大きくなる。したがって、都心部の噴水やその周辺部では気温の軽減効果がみられ、かつて、日本家屋の庭に池を配していたのは、暑い夏の季節に暑さを和らげる効果を期待してのことも考えられる。また、夕方になってから玄関先に「打ち水」をするのは、夜間になっても熱放射を続ける地面の熱を抑え、気化熱が夜の暑さを和らげる効果があるからである。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻134・139・153ページ