キキョウ

 

(キキョウ)

【自然】

人手が加わり維持されてきた「半自然型草地」に生育し、カワラナデシコと同じく市内では堤防、耕地周辺の草地などでみかける。したがって、人手が加えられなくなり、草丈の長い草や灌木が侵入すると姿を消す。本種も自生地が激減し、一般にみられる園芸品種が主になってしまった。同様の生態を持つ種には、カワラナデシコ、ユウスゲ、オミナエシ、スズサイコ、ツリガネニンジン、クサボケ、フジバカマなどがある。これらの中には、キキョウは紋所、フジバカマは香草(奈良時代に香料用に中国から導入された)、ツリガネニンジンは薬草など、人の暮らしに密接に関わるものが多い。キキョウは、中国大陸要素として類型化される種で、植物分布の地史を表す意義をもち、大地の記憶を呼び覚ます意義をもっている。花は、同花受粉を回避するオシベ先熟型で、単一花では種子をつくれない。


『新修豊田市史』関係箇所:23巻336・362・611ページ