菊石

 

(きくいし)

【自然】

色の濃い鉱物と白い鉱物が放射状の模様をなし、菊の花のようにみえる花崗岩。花崗岩にマグマが貫入した際、周辺の堆積岩の破片が取り込まれ(捕獲岩)、球状になったもので、球状花崗岩とも呼ばれる(写真)。球状の部分は径4~8cmで、色の濃い部分は主に黒雲母、白い部分は長石や石英からなる。菊石の産出は、三重県美杉村、長野県下伊那郡毛無山、茨城県峰寺山など数か所に限られており、かなり珍しい岩石である。市域では猿投山の山麓に露出しており、天然記念物に指定されている。近づいて観察はできるものの、触ることはできない。古生代中期~中生代の軟体動物で、カタツムリのような形状のアンモナイトの化石も菊石と呼ばれている。このほか、「菊花石」と呼ばれる玄武岩(黒っぽい溶岩が冷えて固まった火山岩)もある。


『新修豊田市史』関係箇所:23巻15・48ページ

→ 領家花崗岩類