(きこういんし)
【自然】
気候因子とは気候要素を決定づける因子のことであり、気候要素の気温や風、日射量、および降水量はその地域の地形的要因によって変わるからである。したがって、地球を取り巻く対流圏では緯度帯によって気温が異なり、低緯度ほど気温が高く、高緯度になるほど気温は低くなる。これは、緯度帯によって日射時間や日射量が異なるためで、人類のメラニン色素もそれに対応しているのである。熱帯および亜熱帯では黒色系、温帯を中心とした中緯度は黄色系、寒帯、および亜寒帯では白色系であることが多い。低緯度の熱帯地域で降水量が多いのは、強い日射しによる上昇気流によるもので、ハドレー循環の上昇気流域にあたるからである。これに対し、下降気流域にあたる中緯度では中緯度高圧帯が形成され、乾燥断熱減率によって降水量が少ないために乾燥化が激しく、大陸の内陸部では砂漠化が進行している。風は、地球自転の関係から、北半球では中緯度高圧帯の北側に沿って偏西風が吹いていて、その中心軸が寒帯前線ジェットストリーム、および亜熱帯ジェットストリームである。これに対して南半球では偏東風で東から西への風が吹いている。これは、中規模スケールでの季節風、および局地的な地形の影響を受ける海岸部の海陸風、山間部の山谷風とは異なり、半球規模の風である。また、西ヨーロッパが西岸気候であるのに対し、我が国を含む東アジアは東岸気候である。これらの気候の違いは、風上側の熱容量に起因するものであり、風上側が熱容量の大きな大西洋のヨーロッパは年較差が小さく、熱容量が小さい大陸の風下側にあたる東アジアは暑さ寒さが激しく年較差が大きいことによるものである。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻197・200・243ページ