気候変動

 

(きこうへんどう)

【自然】

気候変動とは、平均的な気候からの偏差を時間スケールで表したものである。気候変動は、地軸の傾きや火山活動による自然的な要因に加え、温室効果ガスや森林破壊、山火事などの人為的な要因で起こる現象である。しかし、気候変動が全球的に同じ変動をしているわけではなく、ヨーロッパは最終氷期における氷河の影響を受けているが、東アジアでは低緯度のハドレー循環、中緯度のフェレル循環による大気大循環による変動である。したがって、極地や高緯度側では氷河の融氷水が北大西洋や北極海に流れ込み、海水の鉛直対流循環が停止して寒冷化をもたらしたが、東アジアへの影響は500年以上も後であった。アジアの気候変動は、チベット高原と西太平洋の間にあってモンスーン変動と密接な関係にある。中緯度に位置する名古屋では、全球規模で気温偏差が「正」に転じた1940年代は「負」の偏差域に属し、その後上昇傾向を示すものの1960年代からは再び「負」の偏差値となる。しかし、1970年代後半からは急激に上昇傾向を示し、平成22(2010)年には「正」偏差となり、全球的な気温の上昇率の約6倍に相当し、中緯度は地球温暖化による気候変動の影響が大きいことが明らかである。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻82・193ページ