きのこと虫

 

(きのことむし)

【自然】

きのこの中にセミやアリ、クモ等から発生する冬虫夏草菌というグループがある。冬虫夏草菌は昆虫等の寄主が生きているうちにその体に入り、寄主が菌に蝕まれ死んだ後も菌は体内で蔓延し、やがてきのこを発生する。きのこが発生しない冬は虫の姿だが、夏に発生するきのこを草に見立ててその名がある。古来から珍しいものとされ、漢方薬として利用されている。冬虫夏草菌は小さなものが多く朽木や林床と色合いが同じで見つけづらく、少しの面積でも調査に時間がかかる。さらに、観察者が少ないことから分布の調査はほとんど進んでいない。冬虫夏草菌の多くは、林の自然度が高い場所で発生することから多くの種が希少種であると思われる。愛知県内では豊田市は最も調査の進んだ地域の一つであり、市内で平成15 (2003)年以降に名前のわかったもので50種見つかっている。写真は、ホソエノコベニムシタケ。


『新修豊田市史』関係箇所:23巻386・403ページ