きのこの利用(食べられるきのこ)

 

(きのこのりよう(たべられるきのこ))

【自然】

野生きのこは古来から山の幸として利用されているが、愛知県は長野県や岐阜県に比べ、利用されることは少なく、豊田市でも、今ではほとんど利用されていないが、人気のあるきのこは、マッタケやニンギョウタケ、ショウゲンジ、 ハッタケ、アミタケ、クリフウセンタケ、ホンシメジ、シャカシメジ、サクラシメジ、マツタケモドキ、シモコシ、キシメジ、シモフリシメジ、クロカワ、オオキツネタケ、 コウタケ、カノシタ、ホウキタケなどである。これらは地区によりいろいろな名で呼ばれており、コウタケを「カワタケ」、ハツタケを「あおはつ」、アミタケ(写真)を「すどおし、いくち」など、クリフウセンタケを「しばもち、あしながしばもち」など、クロカワを「ろうじ」、サクラシメジを「あかたけ、あかぎのこ」など、シャカシメジを「せんぼんしめじ、いぼくくり」など、ショウゲンジは「しょうげんじ」のほか、「しょうおんじ、しょうあんじ、しょうごんじ、しょううんじ、しょうほんじ、ぼうず、ぼうずきのこ」などさまざまである。ホンシメジは、匂いマツタケ、味シメジといわれる美味しいことで人気がある。今ではめったに見つからないほど発生量が少ない。市内では「しめじ」が一般的であるが、「かぶたけ、せんぼんしめじ、ほていしめじ、たいこくしめじ、おかましめじ」などと呼ばれている。ホウキタケは「そな」と呼ぶ地域が多いが、「まつぞな、ねずみあし、あかめぞな、もとぶと」の呼び名もある。また、似たきのこをまとめて総称で呼ばれることも多く、旭地区では換金性の高いきのこは個別の名で呼ぶが、それ以外のきのこはすべて「与太きのこ」と呼ばれる。「与太きのこ」のうち食用となるものを雑茸と呼び、食用としないきのこは毒のあるなしにかかわらず、すべて「どくぎのこ」と呼ばれている。また、イグチ類を総称で「いくち」若しくは「いぐち」(小原、旭、稲武)、「いぐちたけ」、「あいたけ」(下山)と呼んでいる。利用しないきのこにも総称があり、市の南部の豊田、藤岡、下山地区では「くそぎのこ」、北部の足助、旭、稲武地区では「どくきのこ」または「どくぎのこ」と呼ばれ、小原地区では両方の名で呼ばれている。


『新修豊田市史』関係箇所:23巻389ページ