木遣音頭

 

(きやりおんど)

【民俗】〈祭礼・芸能〉

もとは火消しや大工などの間で歌い継がれた祝儀歌。市域では吉原町・堤町(高岡地区)、八草町・保見町(保見地区)など、南部から西部のムラで伝承されている。これらの地域は、昭和および平成の時代、地元神社の遷宮祭で披露してから恒例化したものという。いわゆる上棟式における木遣音頭で、紅白の布を巻いた角材を担ぎ、歌に合わせて足並みを揃えて練り歩いた。それぞれの師匠は、八草町は土地の先輩、吉原町は前林町(高岡地区)、保見町は田籾町(保見地区)、堤町は部田(愛知郡東郷町)というが、その大元は尾張東部で最も木遣音頭が盛んな平針(名古屋市天白区)であり、尾張地方の影響を受けている。遷宮祭にふさわしい縁起の良い祝い歌であるため、各地域とも近隣での同様の行事の際に招待されることがあったという。曲目は保見町で「とさ」「こまごと」、吉原町で「クワナ」「ハヤカケスカ」「オケヒキ」などを伝えている。〈祭礼・芸能〉

『新修豊田市史』関係箇所:17巻406ページ