旧愛知県蚕業取締所第九支所・門

 

(きゅうあいちけんさんぎょうとりしまりじょだいきゅうししょ・もん)

【建築】

喜多町(挙母地区)。明治38(1905)年に公布された蚕病予防法に基づき、予防事務所が県に13支所設置された。その業務は、母蛾検査、桑苗検査、生繭売買仲立業者ときょう蛆の散逸監視などであった。大正2(1913)年に挙母町に支所を新設、大正10年この建物が竣功する。躯体を鉄筋コンクリート造とし、小屋組を和小屋の木造としているが、第1展示室(旧講堂・物産展示室、写真)は洋小屋としている。桁行12間、梁間4間、建築面積563m2、背後に中庭を囲むコ字形平面で、正面中央の玄関上部と妻側に小さな千鳥破風を付けて入母屋風とし、各柱の柱頭には大斗、肘木をのせるなど、伝統的な和風を意識した意匠としている。特に門構えでは、柱は鉄筋コンクリート造だが、社寺建築の大斗・肘木を模した意匠がよく表現されている。昭和30(1955)年に廃止されたのち、市立図書館、准看護学校、豊田市青少年相談所に、平成17(2005)年からは豊田市近代の産業とくらし発見館に転用された。国登録有形文化財。


『新修豊田市史』関係箇所:22巻503ページ