旧藤岡中学校特別教室棟

 

(きゅうふじおかちゅうがっこうとくべつきょうしつとう)

【建築】

藤岡飯野町(藤岡地区)。旧愛知県西加茂郡藤岡村立の藤岡中学校の特別教室。起工は昭和28(1953)年3月で竣工は昭和29年3月。内部の設備機器を整えて、同年10月29日に落成した。昭和22年、藤岡中学校は藤岡村立藤岡青年学校の校舎を本校とし開校、昭和29年に本校舎に隣接する旧藤岡村庁舎を取り壊し、その跡地にこの特別教室を新築、昭和50年に新校舎に移転(木瀬)し閉鎖された。昭和56年、藤岡町立藤岡民俗資料館として開館、平成17(2005)年、豊田市に編入になり、「豊田市藤岡民俗資料館」と改称する。木造平屋建、切妻造、桟瓦葺。桁行36.40m、梁間9.55m、延べ床面積360m2、敷地面積2913m2。外壁は黒塗り下見板張り、窓は額縁付の出窓型(出幅0.45m・腰壁高さ0.77m、横幅7.2m、高さ2.18mで上下二段の格子引違硝子戸が付く)、教室と廊下の境にも、腰壁に同型の二段格子引違硝子戸を載せ、明るく開放的にする。天井高2.95m。軒高3.97m。平面形式は、南北に長方形の片廊下型(廊下幅2.27m)で、3区画に分割(準備室を挟んで、理科室と調理室・裁縫室)され、各教室には非常口(片引き戸)が付く。床は厚手の小巾板張、内部壁は漆喰壁、天井は、創建時は棹縁天井だが今は合板張り。小屋組は、洋小屋(キングポストトラス)。桁行方向に、柱を一間ごとに置き、梁間方向には三本、これを単位とし各柱と梁の取り合いに、強固な方丈(斜材)を入れている。また耐風壁を窓の両端に配置するなど、耐震・耐風に配慮している。平成26年、文化庁の指導に従い、修復工事を行い、外壁を平成8年改修のモルタル下地から上杉板の下見板張りに、色彩も創建時に近づけている。取替部材も、出来る限り木製部材で補強し、建築金物も視野を配慮した取り付け、木製窓サッシや窓下受台の修理・換気口の木製枠など既存材を残す配慮がなされた施工となっている。国登録有形文化財。


『新修豊田市史』関係箇所:22巻467ページ