旧龍性院庭園 

 

(きゅうりゅうしょういんていえん)

【考古】

猿投地区猿投町瀬戸田に所在した龍性院は猿投山南麓に鎮座する猿投神社の神宮寺の一つで、その寺院跡は本社の東側、沖積低地を間近に臨む場所に立地している。平成23(2011)年~26年度に北接する東圓坊跡とともに「三河三名園の一つ」という口伝をもつ龍性院庭園の保護を目的とする総合的な調査が実施された。龍性院は4面の石垣、客殿と客殿庭園、新座敷、参道などからなる寺院で、客殿は16世紀末~17世紀初頭に整地・造成され、17世紀前半に造営されたことが明らかにされた。客殿庭園は東側に存した客殿からの鑑賞を主としたもので、右手奥と左手奥に築山が築かれ、その間をなだらかな峰が結ぶ。右手奥の築山は大きく、裾近くに滝が設けられ、その手前の池泉には出島、岬等が造られ、護岸の石組は入り組んだ曲線を描き、随所に大小様々な庭石が配されている(写真:南から)。樹木の多くは失われているが、近世の三河の庭園文化の広がりを示す好例のみならず、日本庭園史における学術上の高い価値を有するものとして、平成29年に客殿庭園は「旧龍性院庭園」として国の名勝に指定された。


『新修豊田市史』関係箇所:20巻184ページ

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