（くまのしゃほんでん）

【建築】

野原町（下山地区）。本殿の建立年代は明らかではないが、絵様や彫刻は派手で、装飾も豊かであり、江戸時代末期から明治時代初期頃の建立と推定される。本殿は桁行3間、梁間1間の身舎の正面に三間庇を付した三間社流造の社殿で、覆屋内に建つ。身舎の柱は円柱で、四周に上下2段の縁長押を廻らし、正側三面に刎高欄付の縁を付け、両側面の縁の後端には脇障子を設ける。縁正面では登高欄付の木階7級を設け、浜床を付す。身舎正面の3間には無目の敷居と頭貫虹梁を通して柱間を開放し、虹梁端に獅子鼻を出す。側背面の各柱間には敷居・内法長押・頭貫を通し、横板壁を設ける。背面の頭貫端には正面同様、獅子鼻を出す。また、梁行の柱間にも頭貫を通し、正背面に獅子鼻を出す。なお、内法長押は正面で枕捌きに納めて内方へ廻らせ、正面柱筋より1尺6寸ほど入り込んだ位置まで延ばし、戸口柱筋の正面に達する。内陣正面の柱間3間には、方立・小脇羽目を組んで、両開き板戸を吊る。身舎の柱上では拳鼻・実肘木付の出組を載せ、中備に波の彫刻を配し、支輪にも彫刻を施す。妻飾は出組の秤肘木上に妻虹梁を渡し、大瓶束笈形付を立て、束上に大斗を置き、実肘木付の出肘木を載せて化粧棟木を受ける。破風の拝みと降りには蕪懸魚を吊る。庇柱は面取角柱で、柱間に頭貫虹梁を渡して、頭貫端に象の彫刻木鼻を出す。柱上では出三斗を載せ、両端には連三斗を載せ、中備に龍の彫刻を配す。両端では身舎柱との柱間に海老虹梁を架け、中2本では斗栱背面に手挟を入れる。

『新修豊田市史』関係箇所：22巻245ページ