警防団 

 

(けいぼうだん)

【近代】

昭和14(1939)年1月25日公布・4月1日施行の勅令第20号「警防団令」によって新設された組織。戦争によって想定される空襲から、地域の人々を守るための防空・消防活動に従事する組織として作られた。元々、地域には民間の消防組織である消防組(近世の町火消制度を起源とし、明治27〈1894〉年の勅令によって設置)と、昭和6年頃から軍の指導の下に地域の人々による防空業務(灯火管制、警報、防火、救護など)を行う防護団が存在していた。しかし、人口の少ない市町村では消防組員と防護団員を同じ人物が兼ねることが多くなり、指揮系統が異なる状態で業務が重複錯綜し、権限面でも対立することが多くなったため、両組織を廃止し、警防団が新設された。防空や火災・水災害などにおいて、警察や消防の補助的役割を担うなど、官制の戦時体制組織であった。名古屋市を空襲した米軍爆撃機が市域に墜落した際には、消火活動を行ったほか、逃亡したアメリカ兵の捜索にもあたった。こうした活動のため、敗戦によって存在意義が薄くなり、昭和22年に廃止、消防団に改組移行された。

『新修豊田市史』関係箇所:4巻623ページ、11巻121ページ

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