血脈相承図

 

(けちみゃくそうしょうず)

【典籍】

寺院において仏法の伝流は、師から弟子へと相承され、その秘伝は印信(いんじん)と血脈(けちみゃく)という系図により可視化される。さらにそれを祖師の御影という肖像画で描いたのが、猿投神社に伝来する現存20幅の血脈相承図である。その元は真言八祖図で、灌頂道場に懸けられ、その照覧の下で師資相承は証明される。猿投神宮寺の相承図は、室町時代の長享2(1488)年から延徳4(1492)年にかけて、大智房朝永が、自ら連なる真言宗小野三宝院岩蔵院の歴代祖師の御影を、上畳の上に座す姿であらわし、上の色紙型に尊名を示している。像の余白には「慶賢法印」や「千若丸」と著者が記され、白鳳寺の社僧と児ちごによる画であることが知られる。各像主の個性的な風貌をおそらく手本によってよく伝えており、類例の少ない稀有な宗教図像の遺品である。


『新修豊田市史』関係箇所:特別号78ページ

→ 猿投神社の聖教