県下人民常食歩合表

 

(けんかじんみんじょうしょくぶあいひょう)

【民俗】〈食生活〉

愛知県を名古屋市と当時の郡ごとに分け(丹羽郡・葉栗郡は一括)、庶民の食生活の実態を明らかにしたもので、明治18(1885)年発行の『愛知県勧業雑誌』第10号に掲載されている。「最上等食」「普通食」「最下等食」の3階層の割合と、それぞれの階層の常食がどのようなものなのかが百分率で示されている。最上等食と普通食では米、麦、稗、雑穀、甘藷・里芋、蔬菜が項目に挙げられており、最下等食ではここに「木実」が加わる。市域の多くを占める東加茂郡・西加茂郡をみると、普通食で米が約半分、最下等食でも米が30%(東加茂郡)と25%(西加茂郡)の割合で、米と麦が常食の主体であった。雑穀の利用は3~15%、甘藷・里芋や蔬菜の割合も比較的少なく、他郡と比較するとおおむね豊かな地域であったといえる。これに対し、稲武地区を含む北設楽郡は稗と雑穀の割合が米麦を上回っており、冷涼な気候が米作を阻害していたことがうかがえる。〈食生活〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻301ページ、16巻297ページ