建築儀礼

 

(けんちくぎれい)

【民俗】〈住生活〉

家普請の最初には地鎮祭や金神除こんじんよけが行われた。金神は方位の神で「その方角へ家を建てると7人とり殺される」と恐れられた。大工はチョウナ(手斧)始めといって、建材を削るしぐさを行った。上棟式は屋根の最上部に棟木を取り付ける際の祝いで、棟梁が身を清めて祭壇に塩、洗米、お神酒、柱餅、投げ餅、尺金さしがね、墨壺などを供え、祝詞を奏上した。親戚や組の人は、2升搗きの紅白の投げ餅が入った祝儀櫃と祝儀酒を持って手伝いに来た。施主は柱餅、オトシノミ(返礼用丸餅)、ヒキモチ(引き出物の餅)などを用意した。ハイライトは投げ餅で、柱餅やコノハモチ(木葉餅)、紙に包んだお金を2階から四方に投げ、家の四隅に供えた大きな餅は安産によいといった。最後は宴会となる。綾渡(足助地区)では、この夜、大黒柱に筬と糸枠を縛り、その下で主人が寝た。家移りの際には施主が酒と煮物を用意し、手伝いの人たちに振舞った。〈住生活〉


『新修豊田市史』関係箇所:15巻437ページ、16巻425ページ