耕耘   

 

(こううん)

【民俗】〈農業〉

水田耕作の耕耘は、タウチ、田をスクなどと言い表し、戦前は年数回に分けて行われていた。時期は家によってさまざまだが、年明けに1回(アラオコシ)、春先に2回目の2番オコシ(クレガエシ)を行う。裏作に麦を作る田では、田に水を入れてから急いで田起こしをするところもあった。耕耘用の道具は、牛馬耕用の各種鋤類(単にスキと呼ぶ)、人力用のカブキリ、各種ビッチュウ類があり、状況に応じて多くの種類を使い分け、刃付けも家々によって違ったものである。畑作では畝立て、畝壊しをする必要がある上に、土入れなどの作業もあるため、牛馬は用いられず人力が主体で、各種ビッチュウ類が使われたほか、平鍬類が活躍した。てこの原理を利用した麦作用のハネクリビッチュウ(下駄備中)も広く普及した。現在は機械化が進み、水田に関してはほぼトラクターでの作業となったが、畑作に関しては小型耕運機などの活用のほか、人力での作業もまだまだ現役である。〈農業〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻129ページ、16巻70/17巻438ページ