高月院弁財天の図

 

(こうげついんべんざいてんのず)

【美術・工芸】

室町時代後期(16世紀)、絹本濃彩、縦94.5cm、横39.9cm、市指定文化財。背後に山景、手前に水辺、中央に岩座を設けた景観のうちに、画面中央岩座上に大きく福徳神である8臂の弁財天、その右脇に小さく大黒天、画面下半分に財宝神である十五童子およびその関連モティーフを左右に振り分けて描く、いわゆる弁財天十五童子像である。弁財天と十五童子の像容は、偽経『宇賀耶頓得陀羅尼経』の記述とよく一致する。寛政5(1793)年の『新古什物帳』には、大方丈御祈祷殿の什物として、高月院7世超誉存牛の代(1545~1550)に松平5代長親(長忠)が寄進した「唐筆弁財天画 壱幅」が記載され、これが本図と思われる。長親は超誉着任の前年に没しているので、これは追善のため遺品を寄進したということなのだろう。弁財天十五童子像としては、市内には他に普賢院(押井町)に江戸時代の木版による作例が現存する。


『新修豊田市史』関係箇所:21巻300ページ

→ 高月院密教の絵画