(こうしんしんこう)
【民俗】〈信仰〉
道教に由来する信仰で、庚申の夜に青面金剛や猿田彦神などを祀り、身を慎んで一晩中寝ないでお籠り(庚申待ち)をした。庚申待ちのために結成されたのが庚申講で、勤行をする講もあったが、ネコウシン(寝庚申)といって、みなでくつろいで過ごすだけの講もあった。庚申像や庚申石塔には、失せ物が見つかるように拝むとよいとか、像を縄で縛ると失せ物が出てくるという言い伝えがあった。連谷(足助地区)では、三十三観音の御堂内に祀られている庚申像に手を合わせると失せ物がすぐ見つかるとされ、失せ物が出てきたら鶏の絵を描いて御堂内に奉納することになっていた。また、田津原(旭地区)では失せ物があったとき、庚申石塔に左綯いにした縄を一縛りするとものが出てくるといわれた。渡刈(上郷地区)では、錐を持って庚申さんに参拝すると、その錐によって庚申さんに耳穴を開けてもらえ、遠くなった耳がよく聞こえるようになると信じられていた。〈信仰〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻816ページ、16巻763ページ