後背湿地

 

(こうはいしっち)

【自然】

沖積低地において河川の氾濫が起こると、礫や粗砂など粗粒な物質は河道に沿って堆積し自然堤防を形成するが、相対的に粒径が小さく軽いシルトや粘土は、氾濫流によって河道から離れたところまで運ばれる。このような自然堤防の背後に分布する低湿な地形を後背湿地と呼ぶ。後背湿地は、氾濫による堆積物の供給が少なくまた細粒物質が殆どであることから、堆積速度が遅く標高が低い。後背湿地は内水氾濫などによってもすぐに湛水し、その深さも大きくなかなか水が掃けず長時間湛水する。そのため伝統的には水田として利用されてきたが、現代では大規模に開発され新しい住宅地や学校、行政機関の移転先として活用されてきた。しかしながら、上述の通り水害に対して脆弱であるため、排水施設があっても集中豪雨などによって排水能力の限界を越える雨がふれば、一様に水没し大きな被害を出すこととなっている。矢作川流域では市域南部矢作川右岸の上郷地区配津町や畝部西町・畝部東町付近に広く分布がみられる。