弘法さん   

 

(こうぼうさん)

【民俗】〈年中行事〉

弘法大師の命日である旧暦3月21日を縁日として行われる行事。弘法さんは寺やお堂にあり、地域で信仰されているもののほか、個人の家で安置しているものもある。この日は地域の人たちやその家の人たちが菓子や団子、ボタモチ、アジゴハン、豆ご飯、オコワを握ったものなどを供え、参拝者たちに配った。これをオセッタイ(お接待)といった。また、この行事を接待弘法とも呼んだ。伊熊(旭地区)ではムラ中の人々で弘法さんの安置されているところを掃除し、旗を立てお参りした。野見(高橋地区)では、弘法さんのある個人宅では、像を出してご馳走を供え、目印の旗を立てて参拝者を迎えた。参拝者は米をひとつまみずつお供えし、供え物の菓子をおさがりとしてもらった。寺でも弘法さんの接待があり、接待弘法といった。東郷(小原地区)の小地区では子どもが参拝に来ると、供えてあった菓子やトリノコと呼ばれるアジゴハンのおにぎりを配った。〈年中行事〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻716ページ、16巻645ページ