光明本尊 

 

(こうみょうほんぞん)

【古代・中世】

主に南北朝・室町時代の親鸞門弟集団(初期真宗門流)の一部で礼拝対象として用いられた大幅の本尊(絹本着色、縦約120cm×横約80cmの規模)。光明を放つ名号(十字・九字・八字・六字)を本紙中央と左右下方に配置し、その間に弥陀・釈迦の2尊、また、左上方に勢至菩薩と天竺(インド)・震旦(中国)の高僧、右上方に和朝(日本)の聖徳太子とその侍臣、源信・法然・親鸞をはじめとする高僧・先徳を描き、上下に讃文を付す様式を基本形とする。現存70点ほどが確認され、各部の詳細にはさまざまな様態がある。市域では如意寺(力石町)に1幅が所蔵される。中央を八字名号とする古態を持ち(現状で上下の讃文は欠失)、本紙全体に剥落が少なからずあって判読しにくい部分が多い中で、右上方に「源海聖人」「海信聖人」「海圓聖人」の札銘のある3人が描かれている点が特に注目される。彼らは荒木門徒と称される親鸞門弟集団の歴代である。

『新修豊田市史』関係箇所:2巻354ページ、21巻292ページ

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