こども園

 

(こどもえん)

【現代】

豊田市では平成20(2008)年度から公私立保育園と公立幼稚園を「こども園」として一体的に運用している。平成20年度のこども園のスタート時には、53の公立保育園、12の私立保育園、15の公立幼稚園が「こども園」となった。一般的には、就学前の子どもが通う施設として幼稚園と保育園がある。幼稚園は、学校教育法に「就学前児童を教育する」施設として定められ、保育園に比べて短時間で、おおむね3歳児から5歳児までを対象としている。保育園は、児童福祉法に「保育に欠ける児童を保育する」施設として定められ、主に保護者が就労等で昼間子どもを保育できない0から5歳児までを対象としている。そのほかにも、保護者の費用負担や教諭・保育士の資格などさまざまな違いがある。少子化や核家族化等による家庭教育の変化が指摘され、幼稚園および保育園(幼保)の枠組みにとらわれない、就学前の子どもに対する教育と保育の一体的な提供や、子育て支援の充実が求められてきた。国でも幼稚園と保育園の一体化について議論がされてきたが、平成18(2006)年に「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が公布され、同年10月1日より就学前の子どもに幼児教育と保育を提供する機能を持つ「認定こども園制度」がスタートした。豊田市は、就学前の子どもに対して等しい保育の機会を提供すべきであるという考えのもと、それ以前にも保育園で保育を必要としない4歳児・5歳児の受け入れ(昭和41年~)や幼稚園での預かり保育の実施、市立保育園の保育士と市立幼稚園教諭の人事交流(昭和45年~)、4歳児・5歳児の保育カリキュラムの統一(平成3年~)など、独自に保育園・幼稚園の一体的な運用に取り組んできた。さらに幼保一体化に向け、平成17年度から2か年に渡り、市保健福祉審議会などにおいて、パブリックコメント制度(市民意見公募)での意見を踏まえて検討を進めた。平成20年度から私立保育園と市立幼稚園の一体的な運用を目指して基本的な方針を定めた。そのため、国が示す「認定こども園」制度とは異なり、市内の保育園と公立幼稚園で、児童に均一な保育をし、保育料も同額にし、施設の名称を統一したものが豊田市の「こども園」である。職員の配置基準を5歳児でみると、国の幼稚園基準が35人であったのに対し、豊田市の公立幼稚園は32人、公私立保育園は30人であったが、こども園は30人に統一された。また、保護者負担の統一では、こども園の基本的な保育料を世帯の所得に応じた学齢別に定めるほか、早期保育や延長保育など利用に応じて負担を求める保育時間を定めた。その一方で4歳児・5歳児保育料の減額や夏休みに利用しない場合の保育料の減額、あるいは免除が定められるなど保護者負担の軽減が図られた。

『新修豊田市史』関係箇所:5巻783ページ