小馬寺 

 

(こまでら)

【民俗】〈信仰〉

円通山小馬寺は牛地(旭地区)の駒山山頂にあり、牛馬を飼う人々の信仰を集めていた。創建は白鳳年間と伝わり、もとは生駒寺と称する天台宗寺院であったが、江戸前期に臨済宗寺院となり、寺名も小馬寺に改められた。小馬寺は檀家のない寺で、現在は廃寺となっている。寺への参詣道は複数あり、「駒山観音道」(駒山道)と呼ばれた。参詣道は小馬寺と山麓の集落とを結んでおり、そうして結ばれた小馬寺信徒が山麓一円に広がっていたことから「八方檀家」と呼ばれた。馬による運搬、馬の飼育や繁殖に携わっていた近郷の人々から、無数の馬を描いた「千匹絵馬」が奉納され、絵馬のなかに1頭だけ描かれている鞍を付けた馬を探し当てるとご利益があるといわれていた。旧暦2月の初午の祭礼が最もにぎわい、たくさんの屋台が出た。版木で刷った御札が出され、牛馬を飼う人はこれを受けてきて自宅の母屋内のマヤ(牛馬屋)の柱などに貼り、牛馬の健康を願った。〈信仰〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻799ページ

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