(こまでらきゅうぞうせんびきえま)
【美術・工芸】
縦185cm 横370cm、扁額、板地着色。岐阜県との県境にある牛地町の小馬寺に伝わった畳4枚分にも及ぶ大型の絵馬である。桜が満開の山あいに、大小さまざま、様態もさまざま、色もさまざまな馬をびっしりと描き込む。千匹というのは非常に数が多いという意味である。小馬寺の周辺地域は三河と信州をつなぐ善光寺街道に近く、三信地方の馬による物資輸送(中馬輸送)を支えていた。そうした地域の特色を反映した絵馬であり、この扁額の大きさと馬の数の多さは、馬に対する強い思い入れを示すものである。落款から長野県上伊那郡箕輪町出身で、江戸に出て谷文晁に学んだ画家藤沢楳庵(1789~1857)の作とわかる。この画家の描写力は高く、特に馬の描写はきわめて高い質をみせる。大型の絵馬にしては、保存状態は良好である。令和2(2020)年3月、豊田市に寄贈され、令和3年度に保存修理が行われた。市指定有形民俗文化財。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻332ページ