(さなげじんじゃえんぎ)
【典籍】
猿投神社の歴史を記したもの。猿投神社所蔵典籍には巻子装の4点の縁起書が残されており、江戸時代に写されたものが2点、明治43(1910)年に写されたものが1点、年未詳で前欠のものが1点ある。江戸時代に写された『猿投之本縁』と『猿投神社縁起書』はほぼ同内容で、猿投社検校の三宅藤二郎の求めに応じ、『猿投之本縁』を写したものが『猿投神社縁起書』である。『猿投之本縁』は萩などの草文様が描かれた料紙を用い、漢文体で記されている。一方、『猿投神社縁起書』は花鳥が描かれた風流な料紙を用い、楷書体でしっかりと書写されている。また、本資料には返点および仮名訓が付されており、実際に読まれたと考えられる。ほかにも、見せ消ちによる訂正や傍注も多くみられるのが特徴である。年未詳の『猿投社縁起』は『猿投之本縁』を写したもので、装飾のない料紙を使用し、仮名訓や返り点が付されている。明治43年に写された『猿投神社縁起』は当地に伝承されていたと思しき猿投神社の縁起を記し、それを諸書により考証したものである。
『新修豊田市史』関係箇所:特別号75ページ