猿投神社革製竜頭馬面

 

(さなげじんじゃかわせいりゅうずばめん)

【美術・工芸】

漆塗牛革製。3面。第1面長さ57.4cm、第2面長さ60.2cm、第3面長さ62.2cm。猿投町の猿投神社に奉納された馬面で、県指定文化財。裏面の朱書銘に、慶長6(1601)年に濃州那田尾の佐藤才次郎直信が奉納したと記されている。馬面は、馬鎧の一部で戦陣で馬の頭を護る防具に使用したものと、行幸に供奉する馬や、馬を飾り社寺へ奉納する時などに鍍銀した金属や、薄鉄に張懸や革などで制作した面を馬の顔に着けるものに大別できる。本馬面は牛革を用いて、木型に嵌めて下地を成形している。3面の形態は細部に多少の違いがみられることから、それぞれ別の木型で成形されたと思われる。型どりした牛革の表面に布を貼り、漆で塗り固めることで堅固な馬面に仕上げている。裏面は、全体に革を平面に張って透漆を塗り、実際に馬の顔に取り付けられない仕立てになっている。頭頂部の宝珠、角、耳の外と内面の全体に金箔を貼り、睫毛、口、顎の鋸歯状の部分や、頰を覆う外側を鋸歯状にした板などの外周囲に、細く帯状に金箔を貼り、豪華さを強調した馬面に仕上げている。このことから、馬鎧の一部品としたものではなく、飾り馬の馬面として制作されたものといえよう。


『新修豊田市史』関係箇所:21巻398ページ