猿投神社黒漆太刀

 

(さなげじんじゃこくしつたち)

【美術・工芸】

柄と鞘、時には金具等までを黒漆で塗り固めた太刀拵で、平安時代以降武家の兵仗用、また常の太刀としても広く用いられ、各時代の遺作が少なからず存している。猿投町の猿投神社に伝世する国指定文化財の黒漆太刀は、刃長47.5cmの小太刀を納める数少ない拵で、刀身とともにその制作は鎌倉時代後期とみられる。また、尾長鳥文の鐔や金具類は高彫・鋤出彫・透彫等の技法を用い、鍍金が施されていた痕跡があり、精巧にして繊細な意匠は黒漆太刀の中でも特筆すべきもので、通常の黒漆太刀と違って社寺等への奉納という一つのかたちを伝えるものと考えられ貴重である。


『新修豊田市史』関係箇所:21巻369ページ

→ 太刀