(さなげじんじゃこんどうまるさやたち)
【美術・工芸】
柄と鞘とを銅製鍍金の板で丸みある筒状に包み、冑金、縁金、鞘口金、足金物、責金、石突など無文の簡素な金具を装着した太刀拵である。なお、丸鞘とは、平安から鎌倉時代に盛行した刀身の平面に倣って薄く仕上げた平鞘に対して、その断面が楕円形に近い厚みある鞘であるところから名付けられたものと考えられる。その遺例は和歌山県の淡島神社(重要文化財、完存品1口)や東京都の御嶽神社(青梅市指定文化財、含残欠2口)、個人蔵で3口ほどしか知られておらず、猿投町の猿投神社にはまとまって4口伝世しているのは貴重である。これらに共通する簡略化の目立つ幅の狭い瓶子形の足金物などから南北朝時代以降室町時代初期頃に盛行したと考えられている。なお、重要文化財の行安太刀附の拵の鞘は後世の丸鞘で以て補っており、同社にはかつて現存の他にも金銅丸鞘太刀が存していたと考えられる。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻374ページ
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