猿投神社正一位猿投大明神扁額

 

(さなげじんじゃしょういちいさなげだいみょうじんへんがく)

【美術・工芸】

縦89.2cm 横43.5cm 厚6.2cm。三河国三宮、猿投神社(猿投町)の神号額である。檜製の一枚板から、額面・額縁ともに彫り出す、いわゆる一木造りによる。額縁部分は周縁を稜花形に刳り、8個の猪目が透かされている。額面・額縁とも剥落が激しく、長年社頭に掲げられていたことを伝えている。額面の表には、かろうじて「正一位猿投大明神」とある墨書を読むことができる。裏面は一面墨塗りされているが、銘文のある部分のみ塗り残され、右側に「嘉元二年甲辰八月一日辛巳書之」の年紀銘、左側に「右近衛権中将源朝臣有忠」の筆者銘が墨書されている。筆者源有忠は、鎌倉時代から南北朝時代に活躍した能書家、六条有忠(1281~1339)とされ、墨書銘にある嘉元2(1304)年の年紀にも矛盾しない。額縁部分には、黒漆塗りに牡丹唐草文が一面に描かれていたものと思われ、さらに牡丹文の隙間には、輪宝と三鈷杵を重ねた密教法具文をのぞかせている。県指定文化財。


『新修豊田市史』関係箇所:21巻409ページ

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