(さなげじんじゃとみこうぎょうしりょう)
【近世】
猿投神社の神宮寺であった白鳳寺が主催した御免富に関する資料。御免富とは、近世において禁止されていた富くじのうち、特に由緒ある寺社などが、修復資金の調達などを目的に、幕府の許可を得て定期的に開催した富興行のことである。富興行は、富札を販売し、当せん金を渡す賭け事の興行で、大きな木箱の中に富札と同じ番号を書いた木札(富駒)を多数入れ、錐で突いて当選番号を決めた。白鳳寺では安永期に駿府と京都で、天保期に江戸湯島天神で御免富を催している。興行に際しては御免富興行を知らせる巨大な立札が開催場所に設置され、数万枚の富駒と同数の富札が作られて販売された。御免富は大規模に実施されるため、プロの興行師(富師)に管理運営が委託されたと考えられる。猿投神社には開催を知らせる立札と約2万枚の富駒、安永期の御免富開催に関する文書が3点、天保期の御免富開催に関する文書が4点残されており、市指定有形民俗文化財である。