(さなげじんじゃひょうごぐさりたちこしらえ)
【美術・工芸】
兵庫鎖太刀は、平安時代末期から鎌倉時代にかけて盛行した厳物造太刀(厳めしく造った太刀の意)の一つで、鞘の帯取と猿手が鎖状になり、鞘の表裏に鍍金や鍍銀を施した地板を当て、これに毛彫などを施し、縁から鐺まで長い覆輪をかけ、縁金・足金物などで締め付けている拵である。柄は鞘同様の地板を当てたものと、地板の代わりに鮫皮を巻いて、覆輪をかけたものとがある。国宝・重文合わせて12口が指定されており、そのほとんどが神社に伝世したもので、すでに鎌倉時代から奉納太刀の一様式として用いられていたものと考えられる。猿投町の猿投神社にも鞘の地板に魚鱗文を透彫りした板を付した兵庫鎖太刀を1口伝世している。金具の製作など簡素ながら埼玉県の氷川女体神社所蔵の重要美術品認定の太刀金具に似通い、刀身の体佩も含めて様式的には鎌倉時代末期を動かし難く貴重な遺例である。
『新修豊田市史』関係箇所:21巻365ページ
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