猿投神社不動明王立像

 

(さなげじんじゃふどうみょうおうりゅうぞう)

【美術・工芸】

像高93.4cm、檜材寄木造、内刳、玉眼、彩色。巻き毛に弁髪をあらわし、条帛、裙、腰布を着け、左 手に羂索、右手に剣を執る通 形の不動明王像である。構造は頭体別材で、頭部は前後3材、体部は2 材で、両腕は肩、肘、手首で接ぎ、両足は別材の後補である。背面左の条帛が右肩に懸かって前に下がるのは珍しい。以前は毘沙門天立像とともに本尊千手観音立像の脇侍とされていたが、様式的には毘沙門天立像よりも古く、南北朝~室町時代とみられ、また、大きさも合わない。毘沙門天立像と大きさ、作風が近い不動明王立像が別にあることから、観音寺から諸仏が戻された時に混乱したのであろう。本像は明治時代に廃絶した旧護摩堂の本尊であった可能性が考えられ、今は単独で安置されている。


『新修豊田市史』関係箇所:21巻37ページ

→ 猿投神社千手観音菩薩立像不動明王